2009/8/29 国立極地研究所 一般公開

年に一度開かれる国立極地研究所の一般公開に行ってきました。
その話をするたびに「極地研、ってなに?」と人にはよく聞かれましたが、南極の昭和基地を挙げると皆納得してくれます。
その辺りの反応は「しんかい6500」を知っていてもJAMSTECを知らない、「すばる望遠鏡」を知っていてもNAOJを知らない、日本のH2Aを知っていてもJAXAを知らないのに、似ているところがありますが・・・。まあ我々も仕事絡まないと全然知らなかったわけで(汗・・・)
というところでそのなんたるかを知るための見学レポートです。


自宅から湘南新宿ライン〜中央線と乗り継いで2時間弱、東京都立川市の研究所本部までやってきました。
ちなみに、以前は板橋区にあったのですが、今年立川に移転したばかりだそう・・どうりできれいだと思った。

一般公開といっても駅から歩いている人もまばらでなんだか寂しそう・・・。


中に入るとすごい人!。体験コースは既に全て満員で締め切られていました。
ま、夏休みだし子ども向けということで大人は好きなところだけを見てまわることにしましょう。


ロビーには南極で採取された隕石の数々が。
確か南極隕石は日本隊が一番多く拾っているそうで、まさに宝物ですね。



倉庫での展示では、26次隊で使用していたテントが。現在のドームテントとtipiの中間といった感じ。 三角テント全盛時代の当時としては、実に設営が簡単で風に強く壊れないようにできています。


今度行く51次隊の装備品として初お目見えしていたのがこれ。
雪上車での長期遠征時に使われる居住モジュール(ソリ小屋)です。 これを後ろにひっぱることにより快適な遠征生活を送れるというもの・・・。
でも室内のレイアウトが狭いアパートみたいで、もうちょっとキャンピングカーみたいに少しでもデッドスペースを減らして収納増やすとか工夫できたんじゃない?と思ったりしました。
きっと現地でいろいろ改良が加えられそうです。



ちなみにこの居住モジュール、2棟展示されていて、作り付けの造水器(雪をヒーターで溶かして水にする装置)も設置されていました。で、でもいかにも仕様通り性能はあります、といった感じでもうちょっと使い勝手の良い物だったらいいのになー。余計なお世話ですね。



3階から1階のロビーまで吹き抜けになっています。


南極でも使用実績のある無人飛行機。ラジコンで飛ばすくらいのものかと思いきや、あらかじめコースをセットするとGPSやジャイロでもってその通りに何時間も飛んで帰ってくるという自律機能付きの優れもの。
到達高度も約5000mとプロペラ機としての性能バッチリ。
小型ゆえに搭載可能な観測機器は2kgまでですが、その分コスト軽減や極地のような場所ではメンテナンスも簡単ですみますし、ゾンデのように飛ばしたら行きっぱなしにならないし、雪上車より格段の機動性ですし、いろいろと使い道がありそうです。


あちこちで専門家によるミニ講演がありました。これは過去の大陸移動についてシュミレーションをしながら解説中。
海底地質の分布からMa単位(100万年)でその動きを再現していただきました。
とはいえ、南極周辺の海底地質は2億年ほどしかないのて、それ以前は別の方法(ボーリング等)が必要だと言ってらっしゃいました。
(ボーリングはすでに実施されてますが、まだまだ一部分です)

またこの近くでは大気の流れをシミュレートするWEBソフトも公開
夏休みの宿題にどうですかと、勧めていた。
けっこうはまりそうだが、設定は結構難しい。(場所と緯度経度で示すのは、子供にはむずいって!)
URL:http://www.firp-nitram.nipr.ac.jp


岩石の顕微鏡は定番ですね。あと隕石標本や好磁性バクテリアの顕微鏡観察もありました。
隕石では火星の隕石というものがあり、カンラン岩が観察できる様になっていました。波状消光が見られたので変成について聞いてみたところ、「衝撃」によるものとか。
それしては波状消光が弱いが?。。。あとで調べてみたら、後の加熱(地球上での変成か?)によって弱まってしまったとか。(説明してほしかった〜!)
好磁性バクテリアは、普段生活している沼とか川とかにも普通にいるものだそう
魚や動物が暗くても方向感覚があるのはこのバクテリアのおかげかもしれないなぁ〜



15時から昭和基地と衛星回線でつないでのライブトークが開催!
現地では朝の9時頃で、季節は春に向かっているとのことで明るいけど、あいにく吹雪いていました。


基地からパワーポイントで概要説明。越冬隊員は28名、こんな内訳です。
観測部門より設営部門が多いのは縁の下の力持ち、といった風。


そのあと子ども達の質問コーナーへ。画面左の方が門倉越冬隊長、右が庶務の佐久間隊員です。
会場の子ども達、大人顔負けの実にいい質問をしてくれました。

交通手段は50年前の宋谷からしらせまで大差ありませんが、その間の通信手段は格段の進歩を遂げていました。

驚いたのが、極地研から内線電話で昭和基地に連絡できるそうです!
また隊員の携帯電話に家族から直接電話連絡が可能だそうです。
こうやって画面で話していても、相手のいる場所が外国か離島程度という感覚でしかありません。

あっという間の1時間でした。



ロビーにあった南極大陸の模型
わずかにみえる山脈が大きいですね〜
氷がなければ、アルプス並に高い山々です。


ロビーにあった昭和基地の模型
思ったより敷地が広い。
人数より建物の数の方が多いそうです。


白瀬隊の帆船から、宋谷、ふじ、しらせ、2代目しらせと歴代の観測船の模型が。
宗谷もそれなりに大きい印象がありましたが、並んで比較するとサイズが全然違う・・・。



・・・・おまけ・・・・

極地研の目と鼻の先にある、東京消防庁 立川防災館に行ってきました。
あいにく閉館時間間際だったので体験コーナーは終了してしまいましたが、いろんな体験コースが用意されていて、おもしろそうでした。



窓から部屋をのぞくと・・・人が倒れている〜!
というのは冗談で、救命蘇生用のダミー人形を消毒中とのこと・・・。


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